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かしわ餅とさわのはな

 4月のある日、我が家に「かしわ餅」が届いた。持ってきてくれたのは川西町にある老舗の菓子店「十印」のご主人であった。届けていただいた柏餅には「本日中にお召し上がりください」と書いた紙がはさんであった。

 なぜ、我が家に「かしわ餅」が届いたのかと言えば、このかしわ餅の餅の部分に我が家で作った米「さわのはな」が使われているからである。十印菓子店では柏餅に使う米を昔から「さわのはな」と決めていた。ところが今まで作ってもらっていた人が収穫作業を委託するため変わった品種を作れなくなり、足りなくなった分を我が家の米が補った形となった。

十印菓子店は塩羊羹のおいしいことで有名なお店で、私も何度かお菓子を求めたことがありました。お米を届けにおじゃましたときご主人とそのお母さんに看板商品の塩羊羹の由来や苦労話など様々な興味深いお話を伺いました。

 その中で当店の柏餅は「本日中にお召し上がりください」なんですよと言われました。他の菓子店やスーパーの店先で売っているものは製造年月日や賞味期限は書いてあっても「本日中にお召し上がりください」とは書いてあるのを見たことがありません。十印菓子店の柏餅は米の粉だけでできておりすぐに固くなってしまい作ったその日でないと食べられなくなるのだそうです。と言うことは他の店で売っている柏餅は固くならない添加物が入っていることになるのです。そう言われてみると世の中には固くなるはずの固くならないものや、すぐ腐ってしまうはずのものがずっとそのままでいたりするものがあまりにもたくさんあることに気づきます。

 長期保存が効くことは経済的には有効ではありますが、私たちの体に必ずしも有用ではないかも知れません。本物の味を生かすため添加物を使用しないと言うのが本来の考え方なのでしょうが、そこから私たちの食を取り巻く状況が見えたような気がしました。今年もこだわりの「十印菓子店の柏餅」にふさわしい「さわのはな」を届けようと気合いを入れ直しました。

十印菓子店の柏餅は4月頃から店頭に並びますのでぜひご賞味ください。来年からは私が作った「さわのはな」が全量使われる予定です。1日に作る数が限られていますので早めにお求めください。

「さわのはな」を使ったかしわ餅