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「芳一くんの酒屋奉公日記T」

 私の勤める造り酒屋は、「東洋酒造株式会社」という。家から歩いて約8分位の所だ。

 今年で11年目の冬になる。

 今年も農作業が終わり一息つく間もなく酒造りの仕事に入った。
 造りに入る蔵人は我が社では6人だが、まだ全員集合していない。

 仕込みの「酒母」がつくり始められたのは12月5日からだが、精米してすぐの米は使えないので10日程冷ます必要がある・・・・。

 そのため、11月中旬から精米作業が始まった。

 私の主たる担当は精米。酒造りの最初の工程だ。

 今年も「さわのはな」が入ってきた。年々確保が難しくなっている。今年はまた一段と生産量が減ってきたのか、置賜地方だけでは足りなくて、最上地方の「さわのはな」も入ってきている。

 我が杜氏さんのこだわり?で自家精米する米は「さわのはな」だ。

 小さな酒屋といっても米は1200俵程使う。その内半分位を自家精米する。
 最近では、手のかかる精米を自分の所でする酒屋はめずらしく?なってきている。
 これも、杜氏さんのこだわりかな?

☆ 精米作業について

 (酒米は、外硬内軟で芯白の米が良いといわれている。まあ、今はそんな最高の米を常時確保する事はなかなか難しいようだ。)

 入ってきた玄米は、70〜75%まで減らされる。ちなみにうちでは70%まで、純米酒や本醸造酒に使用されるものは60%位まで、吟醸酒や大吟醸に至っては、50〜40%まで磨く。

つまり、玄米が10俵あったら3俵は米糠として捨てる。高級酒といわれる大吟醸なんかは、半分以上すててしまうのである。

 (普通の白米が、約1割くらいしか減ってないから「酒というのはほんとに贅沢なもんだなあ」と思う。 また、「だからこそ大切につくらなくちゃな」とも思う。)

 10俵(600キロ)の米から赤糠60キロ、中糠50キロ、白糠約50キロと、同じ米糠でもその段階ごとに分けて取っている。 そうすると仕込み用の白米約420キロ出来上がる。でも、気温や湿度、米の水分や質によって若干調整しながら精米している。

60%になると、そこから上白糠50キロ程取って360キロの白米に仕上げる。

☆ これまでの失敗

精米作業をしていく中で、精米をはじめて米が熱をもちはじめる頃、赤糠から中糠への変わる頃に機械に抵抗がかかる。あとは、60%の米を精米しているとき、ちょうどでき上がる頃に米の走りが急に早くなって(ギューン)って感じで急に抵抗が強くなるそれが、休憩してたりちょっと目を離したときなんかで下手するとモーターが焼けてしまう。(今まで3台ダメにした)今年は、機械のそばを離れないように気をつけている、今の所大丈夫なようだ。

 大吟醸は40%の「山田錦」を使っているが、そこまでいくと、残念ながら会社の古い精米機では無理だ、専用の精米工場で精白してもらう。

そんなことで、遅ればせながらもぼちぼち小さな酒屋の酒造りが始まっている。今、造り蔵の掃除やタンクや道具洗いでてんてこまい。

 12/20日頃から本仕込み、また、朝6時からの酒仕込が始まろうとしている。