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キムジャンな風景

 お隣の国では、秋のキムチ日和(びより)な時を、キムジャンと呼ぶんだと何かで読みました。

 アメリカの独立戦争は歴史の時間に習うけれど、隣の国と日本の間で何があったのか・・等と言うことは全くと言っていいほど習わなかったし、本当のお隣さんなのに未だに何も知らないなぁ・・等とキムチの本を見ながら毎年この頃に思いをはせるのであります。

 さて、その「はせる思い」は、白菜を目の前にして何時のまにやら希薄になりつつあるが(なんだかなぁ ^^;)、小雪が舞うこの日曜日が、果たしてキムジャンな日と呼べるかどうかは、さて置き恒例になった自家製キムチ制作にに取り組むこととします。

 秋に菜園から取り入れた白菜は、5日程、軒先等で「ひなたぼっこ」したものを、新聞紙でくるんで小屋の棚で寝かせていた。今年は我が家の家庭菜園の白菜の出来が良く、大きめの白菜を3株ほどヨッコラショと持ってきて(最近何をするのにも、かけ声が入るのは歳だなぁ・・と思うが)最近はなるべくなら乗ってみたくない体重計に乗せてみれば、7Kg程ある。
 さて、ココで作戦会議・・ 私の手元にあるキムチの教科書は、マガジンハウス社刊・『とっておきの韓国・朝鮮料理』と言う本と、パソコン通信のNifty-ServeのFCOOK(料理フォーラム)のMES5(第5会議室)「エスニック館」(^^;)のログであります。

 ココから材料を割り出します。

  ・白菜      3株(7Kg)
  ・塩       350g(白菜の5%)
  ・イカの塩辛   450g
  ・煮干し     150g
  ・ネギ      数本
  ・人参      1本
  ・林檎      3/4個
  ・ニラ      1.5束
  ・生姜      1片
  ・ニンニク    10片
  ・煎りゴマ    大さじ 2
  ・アミの塩辛   大さじ 3
  ・粉唐辛子    大さじ 9
  ・中唐辛子    大さじ 6
  ・荒唐辛子    大さじ 6

 ここまで書いてみてハタと考える・・・・白菜1株に対して、塩辛が150gの割合なのですねぇ。今年で、3年目の我が家のキムチ。
 昨年までは安売りの塩辛を使っていた。けれども、あのイカの塩辛は、よくよく見れば添加物が入っていて、いかにも調味料の味がするのであります。

 塩辛は量が多いだけに全体の味に及ぼす影響は、少なからず・・でしょう。このことはFCOOKでも問題になっていたなぁと、ログを読み返せば案の定その様に書いて有る。
 自家用のキムチに調味料たっぷりの塩辛ってのも、なんだようなぁ。よぉ〜し私もココは一丁手作りの塩辛とするか・・と言うことに相成った。なにせ添加物の少ない本物の塩辛って、高いのであります・・・・いかに自家製とは言え生産コストは上げられない!

 FCOOKのログを読んでいると、お粥をたしている方が多いことにも気付いて、今年は残りご飯をお粥にして加えてみることにもします。

 さて、早速手持ちの材料を調べてみる。

 アミの塩辛は、先月職場の旅行でTDLに行った際に、途中エスケープして購入した300g程が、冷凍庫に寝ている。粉唐辛子もその際買った。
 荒唐辛子は去年の残り物、風邪ひいてる・・・かもしれない(^^;)
 中唐辛子は無かった(>_<;) しかし、その三種類が混ざっているヤツも一袋発見!!
 何とかなるだろ・・・・山形の片田舎住まいでは、欲しくても直ぐには手には入らないものばかりだしね。さぁ残りの買い物、買い物。

 大ぶりの生スルメイカ2杯で498円也。なんだかスーパーには生のイカが売ってないのです。どうしたんだろうなぁ。日曜日のせいかしら・・・・生のスルメイカには、刺身用とは書いてないが、まぁ大丈夫だろう(^^;)

 早速、塩辛作り。ワタを破らぬよう取り出して、墨袋を取る。足も切り放してたっぷりの塩でワタをまぶす。そのままザルに上げて、猫に届かぬように風通しの良い所に数時間置いておきます。身も皮をむいてコレまた、ザルに上げて風通しの良いところへ。

 結局3時間後くらいに、塩を流ししたワタの中身と、刻んだ身、今回はゲソも吸盤の部分をこそぎ落として、一緒に入れて、みりんをチョロ、お酒は一升瓶の底近くなった『剣菱』が有ったので、口の中ににグイっと・・オッと、塩辛にもチョロチョロチョロと足して、味をみて塩を足して出来上がり。
 出来上がり時で、約500g程有りました。
 そうそう、漬け込んでから翌日あたりに、この塩辛に真っ赤に焼いた鉄を入れてかき回すと、不思議に塩辛の生臭みが消えるんですねぇ、これが・・作ることが有ったらお試しあれ。

 塩辛作りと平行して、白菜の塩漬けであります。白菜の根本に包丁で十文字に刻み目を入れて、手で裂きます。そういえば白菜は金気を嫌う・・というのを何かで読んだような気がするけれど、何故なんだろうなぁ・・などと入らぬ事が頭をよぎるが、3株の白菜は12ピースの白菜に分割されました。

 12ピースで350gの塩ってことは、1ピース当たり30g程の塩になるんね・・と手早く計算して(どこが手早いんだろ ^^;)赤穂の塩があったので白菜の葉を一枚一枚めくりながら、丁寧に塩をまぶす。根本の白い部分には多めに。葉の部分には少な目に・・と言う注意も怠りなく。

 後は、漬物用の槽に塩を振った白菜の根本と葉を交互に置いて、重石をします。本来なら重石をしないで翌日に漬けるのですが、明日は仕事。今晩漬け込むために重めの石を上げます。途中上下を入れ替えます。3時間ほどで入れ替えると嵩も減って水も出ていた白菜達。でも一番上の白菜と、下の白菜とではその差が有るんですね。漬け物なんてこのキムチしかしない私は、いつもながらこの事には、妙に納得してしまう。

キムジャンな風景・本編

 白菜に塗るためのヤンニョム作りを。

 まずは、煮干し・・・

 150gの煮干しの頭と腹を取ります。それを小鍋に水450ccを入れてしばらくおきます。その間に、人参を刻むことにします。人参はミキサーに入れてミンチしようかとも思いましたが、先に食べた既製品のキムチには千切り状態のヤツが入っていたのでスライサーで薄く切った後、千切りにします。

 ココで、先の煮干しの小鍋に火を入れて、煮立てて濃厚な出汁を取ることにする。暫し煮て、その中にオキアミの塩辛大さじ3を加えて更に一煮立ちさせてから火を止めて、細かめのザルで漉し取って冷ましておきます。

 さて、重石で半分ほどになった白菜を取り出して、冷水で洗います。
 水洗いした白菜を水を絞ってザルに取ります。芯の部分と葉の部分をちぎって食べてみます。うん、丁度いい感じ。塩っぱい感じだったらもう一度洗うと有る程度取れるのでありますが、これだけは元々の白菜の水っぽさと、白菜の甘さ加減が白菜によって様々なのでその時、その時なんでありますねぇ(^^;)
 なんと漬け物の奥深さよ・・たまにしか漬けない私には、ビギナーズラックを期待するのみ・・であります。

 次いで、ニラ1束ザク切り、ネギ数本(我が家の今年のネギは小ぶりなので、長ネギにしたら1本程かな)も斜め薄切りにしておきます。
 ニンニクは結構大きなヤツだったので、7片ほど。生姜1片、リンゴを1個それぞれすりおろす。リンゴが余計めかなとも思いましたが、甘みが有って辛みも引き立つだろうと勝手に解釈・・して進めることにします。

 残り物のご飯を先にお粥にしておいたので、ミキサーに開けて、冷ましただし汁を入れて、とろとろ状態にする。
 ステンレス製のボールにこのとろとろの出汁と、ニンニク・生姜・リンゴをすりおろしたものを入れる。
 さてココで、先ほどごそごそと穴蔵を探していたら、唐辛子を買った上野の通称「コーリャンストリート」の店で買ったらしき(記憶が曖昧だ ^^;)塩汁様のものが出てきたので、大さじ3程加える。

 実は、コレはその唐辛子を買った店のおばあちゃんと色々とキムチの話をしていて、コレ入れると旨みが出るよ・・と言われて買ってきた記憶がある。
 しかしなにせ容器に書かれているものは、総てハングル文字なんであります。こうなると私にとっては、スフィンクスに書かれている絵文字も、ハングル文字も同じ事。全く持って読めない意味不明。今となっては、定かではないが「いわしの塩漬け」の汁では無いかと思うのであります。まぁ魚醤みたいなものね。

 ヤンニョムは一つ混ぜるたびに、人差し指で味見をしていると段々深みのある味になっていくのがわかります。ココに、粉唐辛子大さじ9、荒唐辛子大さじ6、混ざりモノの唐辛子大さじ6、先ほど漬けたばかり塩辛450gを加える。おおっ赤のキムチよぉ〜〜(^^;)と、鼻歌混じりに人参、白ゴマ大さじ3も加えて、しっかり混ぜる。香しきヤンニョムの香り。

 最後に、ニラ、ネギを加えたらざっくりと混ぜる。なんでもこれらを加えてから混ぜすぎると、エグ味が出るそうな。体験したことは無いが先人の教えは守ると言う、普段には無い律儀な私であります。一口舐めてみて、う〜ん、辛い!!

 ビニールの使い捨ての手袋をして、白菜の一枚一枚の葉の間にヤンニョムを擦り込んでゆきます。贅沢に擦り込むと最後の分に間に合わないことが多いので、加減しながら塗り込んでは、丸く丸めて漬け物桶に放り込む。

 12ピースの白菜をビッチリと詰めこんでラップでぴっちりと蓋をする。プラスチックの槽についたヤンニョムも綺麗にふき取る。裏の小屋に放り込んで、ヤンニョムな1日が終わった。

 さて、このまま2週間ほど、今か、今か、と待ちます。年末には食べ頃になるかな。いゃぁひょっとすると全くダメになってしまうかも知れません(^^;)